梅雨です。温度も湿度も高くなり、不快指数も高くなる季節です。ところが、カビたちにとっては、心地よく子孫を残すには最適なシーズンの到来なのです。
カビは数万種類も存在するといわれ、その大多数は人にとって無害もしくは有益な働きをします。有益なものの代表はアオカビで、細菌を退治してくれる抗生物質をつくります。カビ、キノコ、酵母を総称して菌類と呼び、細菌と区別するために真菌ともいいます。おいしいキノコは多く、チーズ・味噌・醤油・納豆・酒・パンなどをつくる酵母は私たちの食生活を豊かにしてくれます。
しかし、キノコのなかには毒キノコがあるように、真菌のなかにも人の健康を害して重篤な病気を引き起こすカビ、すなわち真菌症があります。
【症例】 Yさん(42歳 男性)
いつの頃からかセキやタンがよく出るようになり、体を動かすと息切れするようになったYさん。よくなったと思うと、またぶり返すといった状態で、自宅近くのクリニックを受診。診断は「喘息」とのことで、通院しながら内服治療を受けましたが、症状がいっこうに改善されないまま4年が経過しました。しかし、ある年の梅雨の時期、激しく咳き込み、どろっとしたタンが出るようになり、血が混じっていたので呼吸器専門の病院を紹介してもらいました。血液検査やレントゲン検査など詳細な検査が行われ、専門的な治療が必要な真菌症のひとつであるアスペルギルス肺炎と診断されました。抗真菌薬の投与で症状は徐々に治まりましたが、手遅れになっていたら患部(肺の一部)の切除が必要なところでした。
真菌は感染する部位によって次のような病気を引き起こします。
いすれの真菌症も、それ自体は毒性が強いものではありませんが、診断が難しく、長期化するケースが少なくありません。高齢者や免疫力や体力が低下したときに起こりやすく、日頃の健康管理が大切です。免疫力が低下するのは、抗がん剤やステロイド薬、抗生物質を長期使用しているときで、日和見感染といって、体内の常在菌が減少した結果、代わりに真菌が取り付いて増殖するのです。
予防としては、真菌が増殖しにくい環境をつくることです。具体的には湿気対策で、晴れている日には窓を開けて換気を心がけ、湿気がこもりやすい押し入れやクローゼットも風を通すことです。ふすまや扉を開けて、扇風機で風を送るのもいいでしょう。浴室や洗面所などの水回り、エアコン内部などカビが生えやすいところの清掃も忘れずに。日頃の体調管理が大切なのはいうまでもありません。健康状態が良好なら、真菌が体内で増殖することはありません。
横浜鶴見リハビリテーション病院
顧問 吉田 勝明
YouTubeチャンネル 『カラコロ・ラボ~家族の健康守ります~』は、カラダ(身体) とココロ(心)の健康をコンセプトに、視聴者の皆さまの様々な疑問を専門家が解説します。
これまで 『五月病』 『認知症』のテーマで出演。
最新作は『自殺~自らいのちを絶たないで』(全4回)です。ぜひ、ご覧ください。
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